元気っ子
No. 73 平成16年3月2日

★温かくなったと思ったら又寒くなったりと三寒四温の日が続きます。今年は例年になく体調崩した大人の人も子どもも多かったような気がします。事務室でも私を始め水野先生、中瀬先生が体調を崩し、今になってようやく完全復調といったところです。ただ市川先生だけは例外で風邪で寝込んだことは一度もないそうです。鉄人28号と呼んでいます。

さて、15年度も残すところわずか1ヶ月となりました。先生たちは子どもたちといっしょになって、この13日(土)のお遊戯会に向けて練習に励んでいます。私がいつも先生にお願いしていることは子どもたちを『赤信号みんなで渡れば怖くない』的な人間ではなく、ひとりでも人前で自分の思っていることを言え、また人の話を聴ける人に育てて欲しいということです。保育園の子どもたちはまだまだ小さいですが、将来を見据え、このお遊戯会の練習でも色々そういう取り組みをしています。

異年齢児集団で過ごしてきた1年でしたが、大きい子と小さい子が自然に遊べるようになったり、大きい子は大きい子なりに自覚と自信を持つようになったり、小さい子は大きい子と一緒に遊ぶ事によって自然と色々学ぶようになったりしました。

3月はお遊戯会、卒園旅行、交流会等色々スケジュールがいっぱいですが、怪我のないよう楽しく15年度を終わりたいと思います。

★ご覧になった方も見えると思いますが、先日の土曜日、NHKスペシャル『よみがえる教室』を見ました。神奈川県の茅ヶ崎の中学校で子どもを全人格的に育てようということで数年前に建てられたパイロット校のことです。その学校は従来の(試験や進学の為に)知識を教え込むというのではなく、『人生の大切さ』『心の教育』に主眼を置き、生徒たちの思いを徹底的に聞くというものでした。そのために公開授業を年150回以上やり、後でその先生の授業のやり方を他の先生たちが容赦なく批評、批判する、そして泣き出す先生も出てきますが、そうやって先生の『心の教育』をする能力を磨いていくというものでした。今や学級崩壊や不登校ということもなく、その成果を見ようと、これまでに全国から先生たちが何万人も視察でその学校を訪れたそうです。

学力が落ちたから「ゆとりの授業」を見直せという動きがありますが、『自分の人生をしっかり生きる』という人間力なしに、学力も知識もあったものではないと私は思っています。私は、少しずつにしても、これから学校は最終的にこういうスタイルに変わっていくのじゃないかと思いますし、そうなって欲しいと思います。

その教育方法を強力にすすめた初代の校長先生はある日末期がんとの診断を受けましたが、病院での療養を選ばず、点滴を持ち歩いて最後まで授業をし、二学期の最終日『それじゃ、お先に。また三学期にお会いしましょう』という言葉を最後に冬休みに倒れそのまま亡くなったそうです。

★子どもと脳科学 

2月はじめに神戸で全国の保育園の研修会があり、その最終日に小西行郎という小児科医の先生の講演がありました。この先生は早期教育は無用、子どもが小さなうちはなるべくテレビを見せるなと主張されている先生です。その講演の中で印象に残ったことを一つだけ書きます。

(ベトナム・ハノイでの学会の際に取った写真をスライドで見せながら)ハノイ郊外の田舎ではどの家も開けっ放しで、どこかの家で写真を撮ろうとすると隣近所の大人や子どもが集まってきて、ニコニコ笑いながら写真に納まる。一方、都会のハノイで撮った親子の無表情な写真を見せながら『田舎ではわいわいガヤガヤしているうちに、いつの間にか子どもは育っていくけれども、都市化し、親が高学歴化し、人々が孤立化してくると子育ての悩みや虐待などが増えてくる傾向がある』と言われました。正に日本の40年、50年昔はわいわいガヤガヤの子育ての時代、つまり地域みんなで子どもを育てた時代だったと思います。私もそういう風にして、いつの間にか育った人間です。

今の世の中がそう簡単に変わるとは思いませんが、家族に団欒があり、地域というものがよみがえらない限り、残念ながら今の閉塞した息苦しい変な社会は続くと思います。

参照:小西行郎『赤ちゃんと脳科学』(集英社)


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